ポゼッショントレーニングなどを行う場合は選手数、グリッドのサイズを考えないといけません。同数で行う場合は、マークを外さないとパスを受けることはできないため、体力の消耗は激しくなります。狭いグリッドでは運動量はそこまで求められませんが、状況判断と瞬発力が求められます。
例えば、下記のようなOF4名、DF3名の4対3のトレーニングを例に挙げてみましょう。
OF側が1人選手が多い状況ですが、実は1人ではそこまで大きなアドバンテージにはなりません。もちろん、同数よりはパスが繋がりやすくなりますが、その分、各選手が自分のマークを外すという意識が減ってしまい、OF側の浮いた1名の選手がボールを受けるトレーニングになりがちです。指導者がこのポゼッショントレーニングの目的をどこに置いているか、選手に何を要求したいのか理解している必要があります。もし、自分のマークをフェイクなどを使って剥がすことを1番に考えたいのなら同数にした方がその機会は増えるということです。
しかし、トレーニングを行う中でDFがボールを奪う比率が高いと感じることがあれば、OFの数を増やしていくのではなく、グリッドのサイズを変更することで難易度を調整することもできます。
広く使えるようになることでパスの距離も当然伸びます。そうすることで何が変わるのかを選手に理解させることが必要です。「単純に取られなくなったよね?」だけでは本質を理解させることは出来ていません。
ロングパスが使えるサイズになったにも関わらずショートパスのみでボールを回したり、ドリブルで逃げ回るようなボールキープの方法を選んでいる場合はフリーズして子どもたちに問うことも必要です。「DFチームを疲れさせるためにはどうすればいいかな?」「みんなが走るのではなく、ボールを走らせてみよう。」
ボールを動かしてDFの走る距離を増やすことで相手チームを疲れさせることができます。これは試合を想定した場合、理解しておかないといけないことです。
また、良い選手かどうかの見極めの1つとして、グリッドサイズやトレーニングのルールを変更したときに動きを即座に変化できる選手がいます。こういった気付きを持った選手は試合中でもチームのピンチやチャンスに真っ先に動くことができるでしょう。しかし、チームとして高いレベルを目指す為には、中心になれる選手だけでなく、選手1人ひとりがこのような発想力を持つことが大切です。
ポゼッショントレーニングを行う際の注意点としては、ボールを奪われた選手の責任が強いイメージがありますが、ボールを失ったときの責任はそれぞれの選手に平等にあるということをチーム内に浸透させなければいけません。パスの受け手のポジショニングが悪かったからボールが出せずに奪われたということも良くあります。また、ボールを奪われた選手に出したパスが悪かった場合でも、巻き戻して見ると実は更にその前の選手のパスがズレたことでパスミスが続いてしまったということもあるのです。指導者はもちろん、選手自身も良いトレーニングをする為に何を修正しなければならないのかを理解していくことが大事です。
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