サッカーの原理原則とは?
春休みの合宿とは違いアカデミークラス向けの本合宿は遊びの要素がない上手くなるための合宿です。
今回はサッカー・フットサルの原理原則を学ぶことを大きなテーマとして2日間過ごしました。
座学で最初に話したのは「サッカーというスポーツを幼稚園の子にも分かるように説明してください」ということ。何人かに回答してもらいましたが、みんな答えはバラバラです。
「ボールを足で扱うスポーツ」「ゴールにシュートを決めること」「手以外を使うスポーツ」などなど。中には上手く言語化できない子もいました。
サッカーを習っているのに自分が携わっている競技を説明できないようでは、そのスポーツの攻略法を言語化することなんて当然出来ません。
攻撃時はゴールを奪うこと、守備時はゴールをされないこと。当たり前の話ですが、まず目的を理解する必要があります。そして、それができないときに何をしないといけないのか、プレーの優先順位を知っておく必要があります。
1時間の講義の中でまず原理原則というものは何なのか?それを理解するとどうなるのか?などを伝えた上で本題に入りました。
今回はプロ選手が理解しておくべき原理原則ではなく、それを小学生のサッカーに落とし込んだ内容にアレンジしました。それでも、普段意識していない選手にとっては理解するのは並大抵のことではありません。
そこで実際のプロの試合映像と照らし合わせながら、どのような場面で使われているのかを確認することで理解を深めていきました。
スペースを作るには?
特にこの2日間で何度も言い続けたのはスペースという言葉です。ゴールやボール、味方や相手のようにピッチ上で目に見えて存在するものではないスペースがどこにあるのかをプレーしながら見つけないといけません。また、そのスペースを仲間と共有できるのかということが重要です。自分だけが気付けていても味方が気付けていなければ有効活用はできません。反対に自分が気付けていないこともあります。そのギャップをなくしていくことがチームとして上手くなるためには必須です。
スペースを作るためにはドリブルやパスを使いボールや人が動く必要があります。
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実行、決断するためには味方や相手の動きを見る必要があります。
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正しく実行するにはパスやドリブルの基礎技術の精度が必要です。
このように考えていくと技術のスキルと原則原理どちらも取得しなければならないのは明白です。
しかし、日本では技術のスキルを伸ばすことだけを行なっているクラブが多数で原理原則を伝えられていないのです。
自分に矢印は向いているのか?
トレーニング中はもちろん、部屋で過ごす時間、食事中、バスでの移動時間、そんなプライベートな時間でも気になったのが自分に矢印が向いていない子が多いということです。これだけだとピンと来ない表現かと思いますのでもう少し具体的に話しますね。
分かりやすい例としては、味方のパスがズレて自分がトラップをミスして相手チームにボールを奪われたときに「パスが悪い!」と味方のせいにしてしまうということです。チームスポーツなのでミスが起きた時にはどちらにも非があるものです。しかし、それを相手に100%責任をなすり付けてしまう発言をしてしまう場面を目にすることがあります。相手を否定する前にまず矢印を自分に向けて考えてみる。これが出来ている子とそうではない子が存在します。これは学年は関係なく、低学年でも出来る子はいます。
一見、原理原則やスキル向上とは関係ない話のようですが、実は大いに繋がっています。自分に矢印が向かないと足りないものに気付くことはできないでしょう。周りからプレーの指摘をされても素直に受け入れることもできません。
今回プレーする上で大事なことは時間を掛けて伝えていきましたが、教わる姿勢や自分の考えを相手に伝えるスキルを学ぶことも必要かなと感じました。人間形成はもちろん、言語技術の質の向上、これらも同時に行なっていかなくてはなりません。
そして、これらはトレーニングの時間よりも、家や学校での過ごし方に大きく影響してきますので、保護者の皆様のご協力がないと改善できない問題でもあります。近いうちにこういったことを伝えられる機会も別途作っていきたいと思います。
意識し続けられるか?
合宿内での午前、午後の練習前には意識しないといけないことを常に質問し続けて、子どもたちもしっかり答えることができていました。しかし、大事なのはこれからもそれを意識し続けて練習に取り組めるかです。
明日には忘れて自分の好き勝手にプレーしはじめたら意味はありません。サッカーノートに書いたことを練習前に振り返ってみるなど継続できるように努力してほしいと思います。
最後に
今回は直前に体調不良などもあり参加者が少なくなってしまったのは残念ではありますが、参加してくれた選手には学んだ知識をチームメートに伝えていってほしいと思います。言葉やプレーでお手本となり、引っ張っていってください。
もちろん、すぐには上手くいかないとは思いますが、そのときには誰かのせいにするのではなく、ぜひ自分に矢印を向けて考えてほしいと思います。みんなの今後の成長に期待しています!